一ツにはお春が心底なか〱そうしたさもしい心のあるやつでは

ないと思ふが人の心は計られずハテどうしたらととつおいつ

胸に思案もおきあまる和之一はせきたてゝわのモシ〱どうぞ

御あいさつをおはやうなすつて下さりまし手間どるうちに

ひよつとして爺父かまたは當人がお見せへ参るものでもない

そうして見れば私ども兄弟がおまへさんへイヤモウなにとも

おきのどくサヽどうでござりますト小鬢へ熾の燃つきしごと

くに和之一急たてば今は兎斯の思案におよばず何をいふ