ふくらして路次の土腐板いと荒らかに踏ちらしお吉はかへる
後かげ見をくる兵衛が不猜皃さても貧苦に身をせめて
この身にかくしてお春めがさもしい心を出しおツたか此ほどひさ
しき病ひのうちも米は大家が世話してくれるその日〱の
小づかひはこゝで借たの賃針線で取たのといひおツたが全く
そうではなかつたか何れにもせよ女児が心中思ひやられて
この親父が役に立ずの気の毒せんばんさは去ながらアノ
女には昔の武士の意地を出し竒麗にいふたが面目ない