ものとたのしむも恋くるしむも恋といふ字に身をせめてお
もひもいとゞやるせなき折からほく〱杖突立て廓の此
方に徨む盲人それと見るより小六はギツクリお吉が弟の
和之一坊主これはたしかにお春めにたのまれて來たもので
あろハテ気をきかして呉ればよいがと臑に疵もつ胸㥂〻
和之一はこしをかゞめわのチトおねがひ申ますアノ小六さまがお手
すきならちよつとお目にかゝりたうトいはせも果ず小六は
かけ出し小アイ〱和之一さんよくお出なにかわしに逢たいとか