こひしとはさらに[も]いはしゝたひ[も]の
とけむを人はそれとしらなむ
昔おとこねむころにいひちきる女のことさま
になりにけれは
すまのあまのしほやく煙風をいたみ
お[も]はぬ片にたなひきにけり
昔おとこやもめにてゐて
なかゝらぬいのちのほとにわするゝは
いかにみしかき心なるらむ
昔仁和のみとせり河に行かうし給ける
時いまはさる事にけなく思ひけれと
もとつきにける事なれはおほたかのたかゝひ
にてさふらいせたまひけるすりかりきぬの
たもとにかきつけゝる
おきなさひ人なとかめそかりより[も]
けふ許とそたつもなくなる
おほやけの御けしきあしかりけりをのかよはひ
を思ひけれとわかゝらぬ人はきゝおひけりとや