はおふ物にやあらむおはぬものにや[あ]らむいま
こそはみめとそいふなる
むかしほりかはのおほいまうちきみと申いまそ
かりけり四十の賀九条の家にてせられける
日中物なりけるおきな
さくらはなちりかひくもれおいらくの
こむといふなるみちまよふかに
むかしおほきおほいまうちきみときこゆるおは
しけりつかうまつるおとこなか月許にむめ
のつくりえたにきしをつけてたてまつ■て
わかたのむ君かためにとおる花は
時しもわかぬ物にそありける
とよみてたてまつりたりけれはいとかしこく
をかしかりたまひてつかひにろくたまへりけり
むかし右近の馬場のひをりのひむかひにたて
たりけるくるまに女のかほのしたすたれより
ほのかに見えけれは中将なりけるおとこの
よみてやりける