時しらぬ山はふしのねいつとてか
かのこまたらに雪のふるらむ
その山はこゝにたとへはひえの山をはたちはかり
かさね[あ]けたらむほとしてなりはしをしりの
やうになむありける
なをゆき〱てむさしのくにとしもつふさのくに
との中にいとおほきなる河[あ]りそれをすみた河
といふその河のほとりにむれゐておもひやれ
はかきりなくとをくもきにけるかなとわひ[あ]へるに
わたしもりはやふねにのれ日もくれぬといふに
のりてわたらむとするにみな人ものわひしくて
京におもふ人なきにしも[あ]らすさるおりし[も]
しろきとりのはしとあしと[あ]かきしきのおほき
さなる水のうへにあそひつゝいをゝくふ京には
みえぬとりなれはみな人みしら[す]わたしもり
にとひけれはこれなむ宮ことりといふをきゝて
名にしおはゝいさことゝはむ宮ことり
わかおもふ人は[あ]りやなしやととよめり